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パリ 本腰「禁煙しやがれ」

2014年11月08日

 フランス映画の金字塔、ゴダール監督の「勝手にしやがれ」(1959年)。この映画を見たのは学生時代。20年ほど前になる。ジャン=ポール・ベルモンドふんする主人公の口元には常にたばこがあった。パリの美しい街並みと紫煙。アバンギャルドな雰囲気にあこがれた。

 フランスで今、政府が発表した新たな禁煙対策が話題を呼んでいる。計画では、メーカーが独自のデザインで消費者を引き付けるたばこの包装を統一。喫煙の健康被害を訴える写真など警告を大きく表示しなくてはいけない。12歳未満の子どもがいる自動車の車内などでの喫煙もできなくなる見込みだ。

 現在、若年層の喫煙が問題化しており、喫煙予備軍になる子どもからたばこを遠ざけることが狙いらしい。対策に取り組む政府の本気度が見て取れる。

 確かにパリの街はたばこがあふれる。歩きたばこやポイ捨ては日常的な光景で、喫煙マナーに厳しい日本人を幾分、がっかりさせるのも事実だ。果たしてこの対策が記憶の中のフランスの印象を変えるのか-。喫煙者の1人としても、人ごとではない。(渡辺泰之)