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バンコク 連携プレー 水上の華

2016年01月08日

 観光都市バンコクでも、まず観光客は来ないだろう。センセープ運河を往来する大きなボートのような水上バス。「速いけど、臭い、危険」なのである。ある夜、雨にたたられ、大渋滞でバスも動かず、やむなく水上バスで帰宅することに。

 乗り場は小さな橋のたもとだが、近づくだけで悪臭に包まれる。乗る時に滑ってバランスを崩しても、乗務員は手も貸さない。出船の際、客が駆け込んでも待たない。乗りかけた女性は滑って転んで、何とか乗れた。でも涼しい顔だ。

 一方で、乗客同士の連携は感心させられる。波しぶきを防ぐシートは客が自主的にレバーで操る。多い時で50人以上が座れず立つことになるが、一人でも乗れるよう整然と列をつくる。ゆるいアジアの雰囲気は、そこにはない。

 船は超満員。降りようと席を立ったが、ぎゅうぎゅう詰めで動けない。すると、周りの客が出口方向へ行きやすいよう瞬時に隙間を空けてくれる。

 譲り合い、気持ち良くスムーズに-。そんな生活の知恵が徹底して拍手を送りたくなった。でも、悪臭だけは何とかならないのかなぁ。 (伊東誠)

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