2016年11月09日
リオデジャネイロの人たちは荷物が少ない。その最大の理由は、強盗に狙われるからだ。
大きいかばんを持っていると「何か金になるものが入っている」と思われる。腕時計や指輪、ネックレスは「ここにあるから取ってくれ、といっているようなもの」と地元住民の女性は言う。
かばんの中身を見せたら、笑われた。「パソコン? ジャーナリストなんだから、取られたら困るでしょ」。その通りだ。
女性は続けた。「地図はいらない。道がわからなければ、聞けばいい」。なるほど。「かさも必要ない。雨でぬれたら、乾かせばいいんだから」。まあ、そうかもしれない。「転ばぬ先のつえ」ということは考えないのだ。
というわけで、最小限の現金をポケットに入れて出歩くことにした。服装にも同じことが言える。ポロシャツよりもTシャツ、スニーカーよりもビーチサンダルが定番だ。
取られてもいい物しか持たない。これを徹底すれば、おのずと持ち物が減る。そんな暮らしを2カ月ほど続けたところで、身も心も軽くなった。 (北島忠輔)