2010年11月15日
尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件を受け、北京の日本大使館周辺であった反日デモ。隊列に交じっていた男性が突然、プラカードを掲げた。
「深●(セン)市の腐敗を追及せよ!」。男性いわく「姉が『黒社会』(暴力団組織)に殺されたが、黒社会と癒着した警察は捜査してくれない」。
デモ隊には上海万博で強制立ち退きさせられ、行き場がないとして陳情に訪れた農民も。デモに“便乗”したのは「メディアに取り上げられると思ったから」だ。
だが彼らが政府批判を始めるや、警備の警察官が阻止。衝突事件への不満をガス抜きする“官製デモ”以外は容認しない強硬態度に、公安関係者は「ああいうやからの動きは芽のうちにつむ」と。
腐敗や格差。反日デモ一つとっても、この国がはらむ問題が浮き彫りに。これらは「社会の安定」の名の下に当局によって封じ込められている。(朝田憲祐)
●は土に川