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ニューヨーク 保守のうねりを実感

2010年11月16日

 「レイプの結果の妊娠でも中絶には反対か」「イエスだ」「近親相姦(そうかん)の被害者でもか」「イエスだ。その子は養子に出せる」

 先日、ニューヨーク州知事選の共和党予備選で勝利した不動産開発業者のパラディーノ氏。米テレビのインタビューで中絶問題への立場を聞かれ、堂々と答えた。保守派の草の根運動「ティーパーティー」が推す候補。「9・11」テロ跡地のモスク建設にも強く反対し、知事当選の暁には建設予定地の土地収用を行うと公約した。

 確実視されていた元下院議員候補を破っての「大番狂わせ」の勝利。

 「彼はどうせ当選しないから。はい、次の質問」。モスク建設を支持するニューヨークのブルームバーグ市長はこの夏、パラディーノ氏の土地収用宣言について記者に聞かれると、こう軽くあしらった。確実に押し寄せる保守のうねり。米国民の思いはどこに向かうのか。秋の中間選挙の行方に目が離せない。(加藤美喜)