2010年12月17日
生まれて初めて、ハエになりたいと思った。ハエだけがあの会見場では自由だった。
リスボンで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議。オバマ米大統領の会見には、世界各地の記者数百人が質問をと手を挙げたが、大統領は米国の記者を次々に指名。例外はただ1人ホスト国ポルトガルの記者を当てただけ。
中間選挙で負け、国内メディアに気を使わなければいけないのかもしれないが、それが「自由の国」のリーダーの対応だとすると、幻滅だ。
さらに大統領の警護担当(SP)が辺りを見回し監視されているようで気分も悪い。そう思っていると、ブーンという音が響いてきた。それは大きなハエ。大統領の頭上を盛んに飛んでいる。
「超小型爆弾が仕掛けてあるかも」。SPが真剣な目でその動きを追う中、ハエは最後まで縦横無尽に飛んでいた。(有賀信彦)