2017年04月12日
「『北朝鮮が平等だというなら、なぜ金正恩(キムジョンウン)(朝鮮労働党委員長)だけが地下鉄で喫煙できるのか』。英国人の友人にそう質問された息子は、うまく答えられず、疑問を募らせ始めた」
昨年、韓国に亡命した太永浩(テヨンホ)前駐英北朝鮮公使は、外国人記者クラブでの会見で、亡命を決めた背景に家族が世界の情報に接したことがあったと流ちょうな英語で明かした。
英国に帯同した20代の息子2人は、インターネットで世界の情報に触れ、北朝鮮の体制に疑問を抱くようになったという。父親への質問が増え、太氏は「北朝鮮の住民は奴隷のようだ」と、真実を告げるしかなくなった。北朝鮮の外交官は通常、肉親の1人を「人質」として平壌に残さなければならないが、特別に免除されていたことも、亡命の決断を後押しした。
現在は北朝鮮の住民に、韓国ドラマや映画などの外部情報が大量に流入しているという。「旧ソ連や東欧諸国にはラジオで資本主義が流入したが、今はもっと技術が発展した。北朝鮮でも民衆蜂起があると確信している」。太氏は言葉に自信がある様子だった。 (島崎諭生)