2017年10月03日
「単なる調査だ。いつもそうだよ」。パリのレストランで隣の老紳士は肩をすくめた。政治の話題になり、「マクロンさん(大統領)の支持率が急落してますね」と水を向けた時だ。
フランスでは、カフェやレストランでの政治談議は日常だ。タブーではない。彼は古い政治に嫌気がさし、マクロン氏に投票。若いリーダーの改革姿勢に期待しているのだという。
マクロン氏就任から3カ月。6月の総選挙で大勝し、順風満帆の滑り出しだった。だが、その後、軍とのあつれきが浮上して、軍トップが辞任するなど騒動が大きく報じられた。
「ジュピター」。マクロン氏を形容する時にしばしばこの言葉がメディアに登場する。大きな力を手にした最高神という意味だ。「普通の大統領」といわれたオランド氏とは違い、マクロン氏は強く威厳あるイメージを打ち出している。それ故か、一部から「権威主義的」と不評を買っているのも事実だ。
「すぐに答えを求めちゃいかん」。マクロンびいきの紳士は不満げだ。確かに改革の形が見えるのはまだ先だ。5年後、カフェでどんな評価を下しているのだろうか。 (渡辺泰之)