2023年08月04日

７月上旬、ソウルで行われた「クィア・パレード」。正面奥には反対するキリスト教団体が「同性愛の罪を悔い改めよ」との横断幕を掲げている

　虹色の旗に導かれ性的少数者（ＬＧＢＴＱなど）や支援者ら３万５０００人がソウル中心街を練り歩いた。７月初めに開かれた「ソウル・クィア・パレード」。キリスト教系団体が厳しい顔で反対デモを繰り広げる中、パレード参加者の明るさが印象に残った。

　パレードは従来、市役所前の広場を中心に行われてきたが、今年は同日の広場使用を申請したキリスト教団体のコンサートの方が認められた。パレードの通るルートでは、別の団体が「同性愛は罪だ」などと横断幕を掲げ「キリストの名の下に悔い改めよ」と声を上げた。

　極端な声に押され、韓国で性的少数者に向けられる視線は依然厳しい。ゲイの友人によるとパレードに行くだけで差別の対象になりかねないといい、主催者側は報道機関に撮影の際の配慮を求めた。

　しかしパレード参加者の多くは若く見え、何より快活だった。批判を叫ぶ団体にも笑顔で手を振っていた。組織委員会の梁先友（ヤンソンウ）委員長は「私たちは、共に生きる市民だ」と訴える。新しい世代のしなやかさと強さに、多様性のある韓国を生み出していく頼もしさを感じた。　（上野実輝彦、写真も）