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オーガスタ 原発安全神話なお・・・

2012年04月11日

 米南部ジョージア州の田舎町で、ゴルフのマスターズでも有名なオーガスタから車で1時間強。周辺に何もない道を走ると、突如、数十メートルの大きなクレーンが幾つも姿を現した。巨大な原子炉の底の部分の工事が、かなり進んでおり、完成に向けて着実に歩みを進めているようだ。

 東芝の新型原発AP1000。取材数日前の2月10日に建設・稼働許可が出たばかりだった。米国として原発建設に“ゴーサイン”が出されたのは30数年ぶり。

 設計の許可が下りたのが昨年12月。なぜ、これほど早く工事が進んでいるのだろうと不思議に思っていると、記者の前にエネルギー省のチュー長官(ノーベル物理学賞受賞者)が姿を現した。

 「フクシマがあるので日本人は新たな原発を心配しています」と直接、質問をぶつけてみた。

 現場まで視察に来たチュー長官は「懸念は分かるが各国によって事情はそれぞれ違う。米国の原発は安全だ。他エネルギーと併用する」と胸を張った。

 日本のお粗末な対応をオバマ大統領に忠言した博士らしい言葉ではあるが…。批判派は許可が出た原発について、フクシマのような電源喪失には強いが、腐食性の問題や、地震で上部の巨大な水タンクが揺れる脆弱(ぜいじゃく)性があると指摘している。 (野口修司)