2014年05月12日
まるでロックコンサートのような熱気だ。数百人が詰め掛けたエジプトの首都カイロの会場。若者らが熱唱していたのは、日本のアニメソングだった。
カラオケが一般的でなく、歌い慣れていないせいか、決して上手とはいえない出演者もいる。それでも耳で覚えた日本語で陶酔して歌う。愛好家らが初めて企画した、手作りの祭りだ。
きっかけは、国際交流基金カイロ日本文化センターが昨年、日本の漫画やアニメなどを紹介した行事。刺激を受けた地元の若者らが、今年は自分たちの手で開催にこぎ着けたという。
会場でアニメの登場人物に扮(ふん)する「コスプレ」を楽しんでいた大学生セイフさん(19)は「日本のアニメは筋書きが素晴らしく質が高い」と絶賛する。
文化センター所長の高橋正和さん(48)は「エジプトは素人が自己表現をする場が少ない。歌ったり、描いたりするのを他人に見てもらいたいという願望にも、合ったのでは」と話す。
これまで日本のイメージは侍、着物、格闘技、それに質の高い車や電化製品といったところだ。世界で浸透する日本アニメはイスラム圏との距離も、ぐんと縮めつつある。 (今村実)