2014年05月14日
ひねりが効き過ぎたり、不快感をかき立てたりするからフランスの新聞のジョークには笑えたことは少ない。しかし、今回はやられた。しかも広告に。
左派日刊紙リベラシオンの五面。大きな広告には、黒いバイク用ヘルメットの写真と共に感謝の手紙の形でメッセージが書き連ねられていた。「共和国大統領殿 われわれの製品を選んでくれてありがとう」
その10日余り前、オランド大統領は芸能誌に女優との交際をスクープされた。バイクの後部に座り、密会のアパートに通う写真が報じられたのだが、かぶっていたのがこの製品だという。広告主は販売会社社長だ。
密会報道で、誰かヘルメットに注目していた人がいたのかと思う。ところが、同タイプは報道後売り切れたらしい。
広告はさらに大統領が仏製品を購入したことも正しい選択だとたたえた。景気浮揚のため政府を挙げて仏製品購入を呼び掛けているのに引っ掛けたのだ。
過去の無視、放任に比べ、フランス人も仏メディアも政治家の女性問題に厳しく、敏感になったといわれる。が、この広告のユーモア。まだまだ余裕がある感じだ。
(野村悦芳)