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ソウル 当事者救える一歩を

2016年08月16日

 ピンクのブラウスに紺のゆったりしたズボン。体は細いが背筋は伸び、声もはっきりしている。ソウルで会った旧日本軍慰安婦だった女性は2時間以上、自分の過去や昨年末の日韓政府間合意について語り「問題がやっと解決した。日韓政府を信用している」と期待を込めた。

 ソウル近郊の広州(クァンジュ)に元慰安婦が共同生活する「ナヌムの家」がある。10人の入居者には日本語で「お座りなさい」と話し掛けてくれる元気な人がいる一方、半数はほぼ寝たきり。ある女性は訪ねた記者の手を握って軽くうなずきながら「来てくれてありがとう」と繰り返すのが精いっぱいのようだった。

 日韓合意反対の団体がソウルで開く「水曜集会」。参加していた元慰安婦の女性は、いすに座り動作もゆっくりだが、声を張って「当事者を無視していては話にならない」と訴えた。

 それぞれ主張も状態も異なるが、つらい経験を経た人生の最後に「救われたい思い」は共通していると感じた。当事者のため、両国政府や団体はあと少し前に進めないか。女性たちと直接話したり、合意の措置を受け入れたり-。そんな思いがよぎった。 (上野実輝彦)

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