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バンコク すぐ開く扉は安全か

2016年10月12日

 8月上旬にバンコクに赴任早々、「事件」に見舞われた。自宅アパートの部屋に備え付けの電子式セーフティーボックス。夜に帰宅し、4ケタの暗証番号を押したら「エラー」の文字が浮かんだ。何度やっても同じ、つまり開かないのだ。

 日本から持ってきた全財産をボックス内に預けていた。「暗証番号を押し間違えた? 故障か? まさか泥棒に?」。頭は混乱し、心臓もドキドキ。管理人に電話すると、約20分後に男性従業員2人がやってきた。

 2人は専用工具を取り出し、ボックスに向かってカチカチやり始めた。あっという間に扉が開いた。現金や預金通帳などは無事だった。

 原因はボックスに内蔵の電池切れ。電池を入れ替えてもらい、「もう大丈夫」と、2人は笑顔で部屋を去っていった。

 2人の素早い対応に感謝して見送ったものの、「待てよ」と新たな不安が頭をよぎる。あの工具を使えば、簡単に開けられてしまうのか。タイでは先日も連続爆発テロがあり、不穏な空気が漂う。ボックスだけに頼らず、分散して保管することを考えねば。さて、どうしよう・・・。 (山上隆之)