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ロンドン AI 凡人に及ばず?

2018年04月21日

 おそらく、世界の上位数百人の天才を選ぶなら、その中に入るのではないかという人物と会った。勤め先は人工知能(AI)研究の最先端で、詳しい住所も明らかにされていない。将来、AIが人類の脅威になることを警戒し、自ら倫理委員会まで設けたという有名企業だ。

 ケンブリッジ大で博士号を取り、研究者として働く、その人物は言った。「子供のころ、人間の考え方、感じ方、学び方を知りたくて、数学を学ぼうと思った」。なぜ、そこで数学という選択肢が生まれるのか。凡人にはちんぷんかんぷんだ。

 「やりたいことは?」と聞かれ、「笑わないで」と前置きして「ポルトガルのナザレで世界一大きな波を見る、スペインのイビサ島で誕生日パーティーを開く」と言うと、爆笑された。AIには思い付くまい。

 行きつけだという日本料理店で、小皿をたくさん頼む居酒屋風の注文をすると、「いつも丼を食べるだけだった。こんなにおいしかったとは」と、大げさに感動していた。予想もつかない行動をするから人間はおもしろい。実は、それを最も知っているのが、AI研究者かもしれない。 (沢田千秋)