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上海 自由を制限する実験

2018年12月14日

 上海で開催された第1回中国国際輸入博覧会の厳戒ぶりは、人々の自由をどこまで制限できるかの社会実験のようだった。

 会場入り口のゲートを通過した瞬間、左前の画面に、あらかじめ登録してある私の写真が映し出された。本人かどうかを顔認証する最新装置だ。頭上からはおびただしい数の監視カメラがにらみを利かせていた。

 日本から出張に来ていた同僚は、江西省南昌市から上海行きの高速鉄道に乗ろうとして、駅の安全検査で手荷物をすべて開けさせられたという。上海市政府は開幕前から市内への爆発物や劇毒薬の搬入を禁じたが「映画撮影用の銃も使用禁止」というに至っては笑うしかない。

 中国人の知人は「選ばれた共産党員に、自分の職場の屋上に上り、不審者を発見したら通報するよう指示が出た」と教えてくれた。人海戦術がこのように生きているとは…。

 ここまでくると、一体だれのためのイベントなのかと疑問に思えてくる。開幕式で習近平(しゅうきんぺい)国家主席は「中国の開放の扉は閉じることができない」と演説した。しかし私が輸入博で見たのは、開放とは隔たりのある現実だった。 (浅井正智)

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