2010年09月28日
記者の赴任から半年遅れで妻と愛犬の柴犬がソウルにやってきた。犬を連れて散歩に出掛けて気が付いたのは、当地の人が連れて歩くのは、プードルなど外来種の小型犬が非常に多いことだ。
柴犬は珍しいらしく、いろんな人が声をかけてくる。「りりしい顔をしている」「これこそ犬だ」。褒め言葉を授かると飼い主としてうれしい。
ある日、初老の男性が尋ねた。「珍島犬か?」。珍島犬は韓国原産の犬種。確かに柴犬と似ている。「日本の犬だ」と答えると、男性は「じゃあ秋田犬だろう」。秋田犬は、忠犬ハチ公を題材に米国で作り直した映画「ハチ」の公開で当地でも認知度が高い様子。
「柴犬です」と紹介すると男性はうなずき、周囲の人に解説した。「そうそう。東京の隣の町で生まれた犬だ」
「シバケン」が「千葉県」に化けた。得意げな男性の表情を見て再び否定することをやめたのだった。
(城内康伸)