2010年10月05日
台湾名物の夜市は掛け値なく楽しい。
しばしば訪ねる台北市内の夜市。エビの刺し身など魚介類が食べられる屋台のテーブル席に陣取り氷満載のクーラーボックスに入った瓶ビールを飲みながら市を巡って買い食いするのが痛快だ。亜熱帯の気候も相まって夏祭りの縁日のようでたまらない。
そんな夜市の新たな楽しみ方を、台北市の郝龍斌(かくりゅうひん)市長が提案したが、思わず首をひねった。
屋台をはしごする手間を省くため、それぞれの自慢の品をセットメニューとして提供するレストランを夜市の一角に設けようと呼び掛けたのだ。
確かに便利かもしれないが、夜市の魅力を台無しにするのでは。人込みをぶらつきながら自分なりの“フルコース”をアレンジするのが醍醐味(だいごみ)だと思うのだが…。案の定、台湾人の知人も「市長は庶民感覚がない」と切り捨てた。(栗田秀之)