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ベルリン 歌に乗せて日独交流

2013年05月22日

 ベルリン日本人学校の子どもたち13人が4月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者サイモン・ラトルと共演した。

 ラトルが始めた教育プロジェクトの10周年事業で子ども向けオペラ「ノアの洪水」に出演。ベルリンの子ども300人とともに箱舟に乗り込む動物を演じ、ドイツ語で合唱した。

 言葉のハンディがある日本の子どもが出演できた陰には東日本大震災をきっかけにした日独の交流があった。震災1年後に在ベルリン日本大使館で開かれた追悼・復興式典で、日本人学校と隣のドイツの小学校の子どもたちが童謡「ふるさと」などを合唱。これが縁で今回のオペラ出演も日独合同で応募し、選考を経て昨秋に出演が決まった。

 ベルリン・フィルの舞台に立てるとあって、日本人学校に通う私の娘たちは大張り切り。ドイツ語の歌詞を覚えようと、46時中、歌声を響かせた。年明けに始まった日独の合同練習でドイツの友達もできた。

 そして本番。2回の公演を終えた子どもらは渦巻くような拍手を受け、はち切れそうな笑顔を見せた。指導者からは「日独合同チームが一番良い出来だった」とほめられた。

 ドイツの小学校とは今後も合唱を通じた交流の計画がある。震災で生まれた絆はここドイツでも着実に育っている。 (宮本隆彦)