2014年01月17日
「中国で国内旅行はもうしません」。初冬に向かう四川省北部の世界自然遺産・九寨溝を訪れた際、中国人の知人がつぶやいた。
10月上旬の国慶節(建国記念日)大型連休で大混乱に陥った名勝地。2日には約4万人が殺到し、4000人ほどの観光客が下山バスに乗れない騒ぎが起きた。混乱を予想し、時期をずらしたつもりだったが、甘かった。山あいの紅葉、青く透き通った湖、雪景色も美しい絶好の季節。誰でも見たくなる気持ちは同じだ。
ただ、入山料とバス代は計310元(約5000円)と驚くほど高い。日本人なら東京ディズニーランドの入場料が数万円になった感覚。それだけ価値ある風景だが、バスに乗れずに深夜、10キロ以上の道のりを歩かされれば、中国人観光客が怒るのは理解できる。
しかし、その原因は観光客にもあった。平日なのにバス停には長蛇の列ができ、並ばずに乗り込もうとする人々も。大型連休ならバスが何台走っても追いつかず、道路に人があふれてバスが通行できなくなるのも当然だ。
知人は日本各地を旅した経験があり、久しぶりに訪れた中国の観光地の混み具合に驚き、もうこりごりといった顔つき。これも人口が多すぎ、先を争わざるを得ない中国の現実と思って諦めるしかない。(白石徹)