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中国・成都 パンダ 観光回復に一役

2023年06月04日

 中国四川省の成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地は観光客でごった返していた。労働節連休からずれた時期だったが、パンダ舎には長蛇の列。写真を撮ろうと壁に上る観光客を注意する警備員の声が響いていた。

 中国はパンダブームに沸いている。主役は成都にいる和花(フーホァ)(愛称・花花(ホァホァ))。もうすぐ3歳になる子パンダでまるまるとした体が特徴的だ。木登りが苦手で他のパンダに餌をとられても怒らないどんくささが逆に「萌(も)える」とファンを引きつける。

 保護活動の成果で、パンダは約2500頭に増加。それと反比例して中国人のパンダ愛は薄まりつつあった。そこに花花というスターの登場で人気が再燃。交流サイト(SNS)で、食事や遊びなどさまざまな場面の動画が大量に発信され、気軽にパンダの情報に触れられるようになったのが背景にある。上野動物園から中国に返還されたシャンシャンなどの海外勢も人気に一役買っている。

 現地ガイドは「4、5月は休みなしです」とうれしい悲鳴を上げる。パンダ人気がゼロコロナ政策で傷ついた観光産業の回復を力強く支えていた。(石井宏樹)