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上海 「朝だこ」に「夜だこ」

2018年07月06日

 上海の空が朝5時すぎに明るくなるようになり、楽しみが増えた。早朝のたこ揚げである。

 2月に近所の公園のたこ揚げ愛好者の仲間に入れてもらったが、私自身は週末の昼間に出掛けるくらいだった。ところが週末の昼間は、たこ揚げする人が多く、他の人の糸が絡まるトラブルがたびたび起こる。

 以前、隣でたこを揚げていたおばさんの糸に、私の糸が絡まった。なかなかほどけないと見るや、おばさんは電光石火、歯で私の糸をかみ切ってしまった。たこ糸といっても頑丈なナイロン製だ。「揚げ方が下手なあんたが悪い」とおばさんは平気の平左。私はあっけにとられて、怒る気にもなれなかった。

 「朝だこ」では、そんな心配はいらない。そもそも同好の士は数人だけ。たこは早朝の空を気持ち良さそうに舞っている。野鳥のさえずりも聞こえる。まさに至福の時間だ。

 「朝だこ」があるなら「夜だこ」だってある。こちらは、たこに電飾を施した派手なもので、夜空に漂う謎の光を初めて見たときは、「すわUFOか!?」と度肝を抜かれたものだ。私も次は「夜だこデビュー」を目指そうかな。 (浅井正智)