2018年09月22日
首都バンコクから北へ約320キロ、タイ北部の穀倉地帯ピチット県。中部電力が建設や運営のノウハウを提供し、2005年12月に運転を開始したもみ殻発電所を訪ねた。
コメのもみ殻はそれまで、ほとんどが廃棄処分されていた。費用がかかり、精米業者は頭を抱えていたという。それを買い取って、発電用の燃料に。出力2万キロワット。1日に500トンを使って24時間運転し、1万5000世帯に電力を供給している。
「この地域から停電がなくなった。大きな公害問題も起きていない」と地元首長は喜ぶ。周辺の農家からも「捨てていたもみ殻を買ってもらえてありがたい」と歓迎の声が聞かれた。
焼却灰の大半はセメント会社に引き取ってもらい、コンクリート製品の原料として再利用しているとのこと。停電がなくなり、もみ殻も有効利用できる。まさに「一石二鳥」だ。
バイオマス発電所がさらに増えていけばいいねと水を向けたら、発電所のスタッフは「もみ殻の買い取り価格が当初に比べて、約3倍に高騰している」と表情はさえない。電力問題も人の世のこと、一筋縄ではいかないようだ。 (山上隆之)