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タイ・サムットプラカーン エネルギー競争の現場

2019年08月09日

 バンコクから南東へ約60キロ。サムットプラカーン県の湾岸地区に、静岡ガス(静岡市)の天然ガス火力発電所(出力35万キロワット)がある。

 地元のエネルギー会社が2003年に運転を開始し、静岡ガスは15年に発行済み株式の一部を取得して経営参加。同社初の海外事業として、タイの産業高度化を支えてきた。

 先日、所内を見学させてもらった。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合発電システムを採用。発電効率は運転開始時から50%程度という。

 発電した電気は23年までタイ電力公社が買い取る契約を結んでおり、安定した収入が見込めるものの、その先も運転を続けるかは未定。静岡ガスの担当者は「技術革新が進み、最新型の発電効率は60%を超えていますから」と説明する。

 確かに50%程度では新設の発電所と比べてコスト高だ。最新型への切り替えには大規模投資を迫られる。「そのときのタイの需給事情にもよりますが、見極めが必要です」と担当者。電力・ガスの小売り自由化で国内エネルギー業界は激しい戦いとなっているが、その一端がタイでも垣間見えた。 (山上隆之)