2018年10月11日
35競技、1000人以上が同時にトレーニングできる、世界最大規模のスポーツ施設-。そんな触れ込みで昨秋、500億円をかけて韓国中部・鎮川(チンチョン)郡に完成した「国家代表選手村」を訪れた。トップアスリートが研さんを積む、日本でいうナショナルトレーニングセンターだ。
最新鋭の設備や約160万平方メートルの広大な敷地もさることながら、最も印象的だったのは食事だ。選手らとともにバイキング形式の昼食を取ったが、並のホテルよりバラエティーも質もずっと上。スポーツにおける食の重要性を改めて感じた。
その選手村で女子バスケットボールの南北合同チームが、アジア大会に向け練習していた。北朝鮮では「トラベリング」を「歩行違反」、「アシスト」を「得点連絡」と呼ぶなど、用語に違いがある。練習内容も異なるようで、北朝鮮の3選手が見せていた戸惑いに、見ているこちらも不安を感じた。
だが大会に入ると、北朝鮮のロ・スギョン選手がチーム最多得点をあげるなど活躍。意思疎通が改善したのか、ひょっとして食事の成果かな-などと想像しながら、チームの行方を見守った。 (上野実輝彦)