2023年04月20日
ミャンマー東部カイン州で戦闘が激化し、住民ら数千人がタイ北西部メソトなどに逃れた。タイ政府は一時避難所を設けて支援をアピールするが、避難所を訪れると、避難民を懸命に支えていたのはタイで暮らすミャンマー人の同胞だった。
今月9日、避難所には支援物資を積んだ車両が次々と到着していた。ある支援グループは400人近い同胞から資金を集め、スーパーでせっけんや歯ブラシ、菓子などを購入していた。「温かくておいしいものを食べさせてあげたい」。炊事場では若者グループが汗を流していた。
メソトにいるミャンマー人たちも生活は厳しい。特にミャンマー国軍によるクーデター後に密入国した人たちは、職に就くことが困難だ。ツテをたどって工場などで働く人もいるが、タイ政府が定めた最低賃金の半分程度しかもらえないと聞いた。
自らの苦境にもかかわらず、懸命に支援する姿に驚いたとミャンマー人の友人に話すと、こんなことわざを教えてくれた。「一粒のゴマでは油は作れないが、たくさんのゴマを集めれば油を作れる」。ミャンマーで続く抵抗の原点を見た気がした。 (藤川大樹、写真も)