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北京 胸張るトップに疑問

2008年10月16日

 有害物質のメラミンが粉ミルクに混入していた事件は、中国に「食の安全」をあらためて問い掛けている。しかし中国政府が開いた記者会見で、その姿勢を疑わざるを得ない発言があった。

 政府が国内の乳製品メーカーに対して抜き打ち検査した結果、2割の企業からメラミン混入の製品が検出された。日本ならこれだけで大騒ぎだが、検疫部門トップは「メラミン混入製品は少数で8割は合格だった」と胸を張ったのだ。

 北京五輪のスポンサー企業からも問題製品が検出されたが「35回の抜き取りで不合格だったのは1回だけだった」と強調する始末。99回は大丈夫でも1回問題あれば健康や命にかかわるのが「食の安全」問題だが、彼にその認識があるとは思えなかった。

 その後、牛乳やヨーグルトからもメラミンが検出され、彼は事実上の更迭となった。更迭理由の中に、前述の無責任な発言が含まれていることを信じたい。

(新貝憲弘)