2009年06月01日
イスラエルの総選挙で出口調査をやった。エルサレムの投票所で、投票先を有権者に聞く。地元テレビ各局は調査に大量のスタッフを動員したようだが、こちらは助手と私の二人だけ。対象はわずか30人である。
ある党に投じたお年寄りは、その理由を「いつもそうだから」と実に明快。若い女性は投票先とは違う党首の名をあげ「あの人に首相になってほしくないから」と語った。
国を問わず、投票は往々にして、消去法になるものだ。別の女性は「夜になったらテレビで結果は分かるわよ。今、私に聞かなくてもいいと思うけど」。もっともなご意見である。
夜10時、投票が締め切られると同時に、テレビの速報が始まった。ホテルの部屋で各局の報道を順に確認し、私は一人、喜びをかみしめた。
形勢不利だった与党が最終盤に激しく追い上げた予測困難な選挙戦で、本紙出口調査は第一党を的中させた。
(内田康)