2009年08月25日
取材帰りに空腹をベルリン中央駅構内の店で満たして出口へ向かうと、どこかで見た顔。かつてともに語学を学んだ友人だった。私より二回り近く若い彼は冷静で控えめな米国人。大学卒業後、ベルリンでドイツ語を学び帰国した。
声をかけると、すぐに互いの記憶がよみがえった。今はアイルランドで米国系情報通信会社に勤めているという。「それにしても何でここに」。彼は照れくさそうに答えた。「実は彼女の父親に結婚の承諾をもらいに行くところなんだ」
ちょっと神経質そうだった彼から後日、交際中のドイツ人女性へ指輪を贈ると書かれたうれしいメールが届いた。その時、あるスピーチを思い出した。
「ベルリンは東西分断という別れの街ではなく、苦難をともにした者たちの再会の街」。まさに“千載一遇”の再会をこの街で体感した。 (弓削雅人)