2009年09月28日
「ヘジャブ(スカーフ)をちゃんとかぶっている女性は、全商品半額になります」
こんな張り紙を、テヘランの高級住宅街の喫茶店で見つけた。世界にはいろいろな割引があるものだと不思議に思っていたら、同行の通訳が小声でささやいた。「ウチの店はイスラム教の規範を重視しています、という当局向けのポーズです」
保守強硬派のアハマディネジャド政権が4年前に誕生してから、イランでは宗教パトロールが復活。ヘジャブで髪を隠していない女性は、注意される。この喫茶店の周辺はさばけた服装の女性が多く、先の大統領選で自由を訴えた改革派の地盤でもあるのだが、当局の目は光っているらしい。
店で会った若い女性はヘジャブから茶髪を露出してサングラスを額に乗せ、明らかに割引対象外。聞けば「以前、車の運転中に宗教パトロールに呼び止められたけど無視した」と笑った。こちらもなかなかの強硬派だ。 (内田康)