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サンフランシスコ 整形問題耳痛かった

2011年07月01日

 最近数カ月のわが家の話題の中心は、買ってきた子犬の耳を整形のために切るかどうかということだった。

 犬の種類は、小型犬のミニチュアピンシャー。見かけは、いかつい風貌で、軍用犬としても有名なドーベルマンをそのまま小さくしたようなもの。

 ドーベルマン同様に、耳を整形して小さくしなければ、垂れ耳になり、人なつこい表情になる。

 しかし、整形して小さく切り取り、映画「バットマン」の主人公のように、天に向かってピッと立った三角耳にすると、とても精悍(せいかん)な顔つきになる。

 耳の整形は、繁殖業者が生後間もなく済ませるのが普通だが、わが家の犬は切られていなかった。

 耳を切ってくれる獣医師を求めて、サンフランシスコ周辺を10カ所近くあたった。

 しかし、どこへいっても「うちではやりません」と断られるばかり。健康な耳を切り取るのは、医療にそぐわない行為と考えるようだ。ヨーロッパの多くの国では動物愛護の観点から、法律で禁止されている。

 知り合いの女性には、「大きい耳は、かわいいのに」と、やんわりと反対意見を述べられた。

 結局切らずに終わった。こわもてする代わりに、みんなから「かわいい」と好かれる犬になった。(岡田幹夫)