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ニューヨーク 新種知り初心に帰る

2012年04月27日

 カエルの鳴き声を文字で書けといわれたら? ケロケロ、いや、グワッグワッだろ、という人もいるだろう。

 他の生物同様、カエルの鳴き声も種類によって違う。この鳴き声をきっかけに、米ニューヨーク市内で新種のカエルを最近、発見した研究者に会った。

 博士論文を執筆するために何回も足を運んでいたある場所で、ある晩、聞いたことのないカエルの鳴き声を聞いた。

 未開のジャングルではない。彼より先に、この場所でカエルの調査をした研究者が何人もいたはず。しかし、多くの人は「こんな都会に新種なんているわけない」と勝手に思い込んでいた。

 この話を聞いて、米人気ドラマ「名探偵モンク」の、毎度繰り広げられるこんなシーンを思い出した。

 殺害現場にいる刑事たちだが、なかなか手掛かりを見つけられない。そこに主人公のモンクが登場する。みなが見過ごした場所から次々と事件を解くカギを見つけ、刑事の1人が「なぜ、おれたちには見えないんだ」と嘆く場面だ。

 カエルの彼は、探偵並みの直感のみならず、行動をもって、新種の発見にたどり着いた。

 「何度も現場に足を運んでいたから、自信を持てたのだと思う」

 まるで、新聞記者のあるべき姿を聞かされているみたいだった。 (長田弘己)