2012年12月21日
「日本人として、この一戦を見逃す手はない」-と、いきおい勇んで出掛けた米大リーグ、ヤンキースのレギュラーシーズン最終戦。先発は黒田。対戦相手のレッドソックスは松坂が先発。日本人同士の投げ合いは、米国に住んでいてもめったには見られない。
加えて、イチローと松坂の対決もある。この「夢のゲーム」を知った日本人在住者はこぞってチケットを買いに走り、スタンドではあちこちに知った顔がいた。試合は5失点の松坂が3回途中で降板。それでも、最終回にはレッドソックスの田沢も登板し、日本人大リーガーそろい踏みの好ゲームだった。
が、誰よりもすごいプレーを見せていたのは、スタンドを歩きながらピーナツを売っていた男性スタッフたちだ。通路と通路の間は約10メートル。離れた席にいる観客が「1つくれ!」と手を挙げると、その座席に寸分の狂いもなく、ピーナツの袋を投げる。百発百中である。
問題は代金の受け渡し。まさか客が紙幣を投げて、売り子がお釣りのコインを投げ返す?-とも期待したが、そこはさすがに原始的。隣の客から隣の客へお金が渡って売り子に届き、お釣りも逆ルートで返されていた。
売り子の1人は「1袋買ってくれたら投げ方のコツを教えるよ」。営業もなかなかうまかった。 (青柳知敏)