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上海 規制はあるけれど・・・

2013年06月18日

 中国でいま、マナー向上キャンペーンが盛んだ。主要都市が、信号無視など交通違反の対策強化を相次いで打ち出している。旗振り役は、習近平体制に移行した中央政府。旅行先の海外で、順番待ちの列への割り込みなど無法な振る舞いをしないよう呼び掛ける動きもある。

 そんな中、上海市トップの韓正・市党委書記が踏み込んだ発言をして話題になった。信号無視やごみのポイ捨てに加えて、中国では日常的な風景の「路上へのたんの吐き捨て」も規制対象にするという。

 上海市民は「そんなこと、できっこない」と冷ややかだ。そういえば近年、飼い犬マナーや公共の場所での禁煙など次々と条例がつくられたが、守られている気配はない。飼い犬の散歩はひもにつながないと罰金だが、つないでいる犬は見かけない。禁煙のはずのレストランで、客は平然とたばこをくゆらせている。

 先日、上海の大学で大気汚染についての講義を取材した際、学生から講師に「工場への排出規制の法律はないのか」と質問が飛んだ。講師は「欧米や日本よりむしろ厳しい規制もある。問題は、みんな守らないことだ」。学生は「その通り」とばかりに爆笑した。

 さて、今回のマナーキャンペーンは効果を挙げるだろうか。 (今村太郎)