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カイロ 美化される革命聖地

2014年03月17日

 エジプトで「民衆革命の聖地」とされてきた首都カイロのタハリール広場。暫定政権が最近、犠牲者を悼む記念碑を建立したというので、見に行った。

 2011年以降、旧ムバラク政権を崩壊させるなど、広場は民主化デモが繰り返されてきた。多くの若者らの血と汗が染み込む。

 夜にライトアップされる記念碑は、確かに立派だ。広場は芝を植えて美しく再整備され、記念撮影の外国人も目立つ。だが、デモ隊が寝泊まりした汚れたテント群とともに、民主化を渇望する若者らの熱気まで消えた。

 今年7月に起きた事実上の軍クーデター後、政権はデモ規制法をつくった。実態は許可制に近く、違反には高額の罰金も科せられる。規制に怒り、無届けデモをした多数の若者らは、逮捕された。

 そういえば、7月に倒れたイスラム政権も、タハリール広場に芝を植えるなど、整備を試みたことがある。美化を名目に、一帯でのデモ封じを画策しているのではないか、と当時、疑われていた。デモを警戒するのはどの政権も同じようだ。

 記念碑から離れた場所で、ひっそり掲げられた、遺影を見つけた。2年前、デモで亡くなった若者らしい。

 「父より息子へ、そしてすべての犠牲者の方々へ 私たちは革命が達せられるまで、あなた方に続く」と添えてあった。 (今村実)