2015年08月07日
上海株式市場の株価急落は、国際標準とは似て非なる「官製市場」であることを露呈した。強気相場をあおってきた政府はなりふり構わぬ株価下支え策を連発。一時は上場企業の半分近くが「重大事項を計画している」として、自ら株の売買停止を申請し、パニックを広げた。
一般的には乱高下から投資家を守るために売買停止の措置が取られる。上海では自社株下落に歯止めをかける意図がありあり。証券取引所も大甘にそれを認めたようだ。
「股民(グーミン)」と呼ばれる個人投資家たちの多くが「損害を補償せよ」「政府が責任を取れ」と声を張り上げ、自己責任であるはずの市場リスクはどこへやら。
1つ10元(約200円)の弁当を証券会社ロビーの電子レンジで温めて食べ、株価ボードを見つめる退職老人ら。気の毒に思ったが、その投資額を聞くと100万元(約2000万円)超とも。質素な生活と一獲千金を狙う投機性の落差にはあぜんとした。
香港紙は「政府介入は市場原理を損ねる」と批判。「アジアの国際金融都市の座は上海には渡さないよ」-。文字通り株を上げた香港の高笑いが聞こえるようだ。 (加藤直人)