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ニューヨーク 見事!女王の貫禄勝ち

2019年10月11日

 東日本大震災で被災した宮城県石巻(いしのまき)市を「いしまきし」と国会答弁で繰り返す閣僚がいたが、やはり立場上まずい誤読はある。サッカー女子ワールドカップ・フランス大会を制した米代表チームの優勝パレードで、あらためて考えさせられた。

 男子代表との待遇格差を巡り法廷闘争中の女子代表と米サッカー連盟。ニューヨーク市内を行進後、連盟のカルロス・コルデイロ会長が壇上で選手らの偉業を紹介する際、得点王など個人2冠に輝いたラピノー選手の名前を誤って発音したのだ。観衆が「同一賃金を!」と叫ぶ中、「どの国より女子に投資している」「全ての女子選手は公正、公平な報酬に値する」と訴えたが、説得力はいかばかりか。

 一方のラピノー選手。「ちょっと思い切って言うけど、私はカルロスを支持する。彼は私たちを理解している。物事を正してくれると思う」と会長を持ち上げてみせ、大喝采を浴びた。会長も拍手で応えていたが、サングラスの奥で顔が引きつって見えたのは、気のせいか。

 誤読を不問に付し、見事に切り返した女王の貫禄。連盟トップの“オウンゴール”を余計に目立たせた。 (赤川肇)