2011年08月21日
完全にアウェーの心細さだった。なでしこジャパンが快挙を遂げたサッカー女子ワールドカップ(W杯)の日米決勝戦。ニューヨーク最大のサッカーバーは、米国サポーターの熱に沸いていた。
勝っても負けても潔く-がスポーツの神髄だが、ここは弱肉強食のアメリカ。場違いな日本人にはいろんな視線が飛んでくる。際どいファウルをののしる女性にカメラを向けたら、マッチョな彼氏に思い切りにらまれた。
ハーフタイムには、地元メディアの記者に試合の感想を聞かれた。「日本はスピードもスタミナもある。後半は有利」と答えたら「そうなるといいけどね」。逆に日本の印象を聞くと「強敵だよね」と、何となく上から目線だ。
そんな“場外戦”の中で始まった「USA!」の大合唱。渦の真ん中に立っていたら、ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害時の光景を思い出した。さっきまでキスをしていたカップルも形相を変えて叫んでいる。声援というよりも、強さを誇示するプロパガンダに聞こえてくる。
日本には「2番じゃだめなんですか」と発言した国会議員がいたが、米国は一番以外は「無」なのだろう。PK戦で敗れて沈み込む米国サポーターの目を避けて、日本人らしく控えめにガッツポーズをしておいた。
(青柳知敏)