ジャンル・エリア : イルミネーション | オブジェ | 愛知 2022年12月07日
光を放つ「蓄光プラスチック」を使ったクリスマスツリーが名古屋市中村区の商業施設「KITTE(キッテ)名古屋」に展示されている。廃材を再利用して作られた特殊なプラスチックで、電力不足の懸念で政府の節電要請が出る中、電球代わりに活用されている。担当者らは「環境に優しい幻想的なツリーを楽しんでほしい」と話している。 (細川暁子)
緑やオレンジの光を放つ蓄光プラスチックは1つの大きさが約5センチ。高さ約10メートルのツリーは、約5万個をワイヤでつなぎ作られた。同施設は昨年までツリーに電球を飾って冬の町に彩りを添えていた。だが、電力不足の懸念や電気代高騰などの影響もあり、今年は初めて蓄光プラスチックを利用することにした。
展示は25日までで、1日6回、5分ずつツリー周辺の明かりを落とすことで、暗闇の中で光を際立たせている。電球と比べると光は弱いが、同施設の板津雅史さん(38)は「ほのかな光を味わい、省エネや『エコ』に思いをはせる機会にしてもらえたら」と話す。
蓄光プラスチックは、豊川市の自動車部品メーカー「プラセス」が2年前に開発した。自動車の製造過程で廃棄される材料を再利用しており、プラスチックの一種のアクリル樹脂に、光を蓄える「蓄光材」を混ぜて作られる。太陽光や蛍光灯、発光ダイオード(LED)などの光を1時間当てることで、20分ほど発光するという。
同社の甲村尚久社長(56)は「蓄光プラスチックは行き場のない廃材を有効活用したいとの思いから生まれた。ツリーとして飾ってもらうことで多くの人の目にとまり、うれしい」と話している。