2023年07月12日

　米東部ニューヨーク州リバティー島にある自由の女神像。その内部、頭の部分まで上った。入場制限のため通常は数カ月先まで予約でいっぱいだが、運良く前日に滑り込むことができた。

　台座までは比較的簡単に行けるが、像の内部は急で狭いらせん階段を上らなければならない。息を切らし、ようやく終点にたどり着いた…と思ったら、「ウエルカム」と頭の上から声が降ってきた。階段の終点の手すりの上に、ガイド役の男性がへばりつくように座っている。修復の歴史などを話してくれた。

　どれぐらいここに座っているのか聞くと、２時間交代だという。「暑くて。像を触ってごらん」。基本的に銅板でできているため、直射日光が当たると熱くなる。冠の部分の小さな窓は開けられるが、外は２０度程度だったにもかかわらず、内部は３０度を超えていた。５月の終わりでこの暑さなら、真夏はもっと暑いだろう。

　自由の女神は自由と民主主義の象徴。ロシアによる一方的なウクライナへの侵攻や、世界的に指摘される民主主義の後退など、女神の悩みの種は尽きない。考え込んで頭が熱くなるのも、仕方ない。　（吉田通夫）