2023年07月18日
スマートフォンのアプリで予約したホテルを探し、蒸し風呂のように暑い広東省深圳の路地裏を歩く。セグウェイに乗ってスチール台車を押す若者を見ると、ITのスタートアップ企業が集う街の雰囲気を感じる。
地図アプリが指し示したのは普通のオフィスビル。警備員に尋ねると「取りあえず10階の1016号室まで行け」という。
フロントは、IT企業や投資会社が入居するビルの一室。中には誰もいない。張り紙に書かれた番号に電話をかけると、「カウンターのQRコードをスマホでスキャンして、ホテルのアカウントに友達申請をしてください」と説明があった。言われた通りにすると「パスポートの写真を送ってください。部屋は1808号室。カードキーはピンクの紙の上に置いてあります」とメールが届いた。
部屋の扉には警察の通知が張られていた。「あなたは既に24時間態勢の監視区域にいます。言動に注意してください」。結局、従業員を見ないまま、フロントに置かれた領収書を取ってホテルを後にした。「キーを返しました」とメールで伝えると、ひと言「了解です」と返事が来た。 (白山泉)