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パリ 幸運呼んだハヤブサ

2023年08月30日

今年5月、パリ市内の住宅の屋上で、親鳥(右)からエサを与えられるハヤブサのひな

今年5月、パリ市内の住宅の屋上で、親鳥(右)からエサを与えられるハヤブサのひな

 「最速の猛禽(もうきん)類」と呼ばれるハヤブサがパリの空に戻って10年がたつ-。以前書いたこんな記事を取材した端緒は、長女が通うパリの公立小学校の掲示板に「生まれたばかりのひなを見守って」と書かれた紙が張られていたことだった。後に、掲示したのは校長先生だったことが判明。記事の掲載紙を見せるととても喜び、所属するハヤブサ保護グループの情報を送ってくれるようになった。

 今年は自宅アパートの窓から見渡せる場所にハヤブサのつがいが巣を作ったので、ひなに餌づけする写真などを撮って提供していたところ、先日、校長先生からある誘いを受けた。自然保護や芸術活動に取り組む人たちの姿を撮りためている著名な写真家のプロジェクト「フランス人の百科事典」にハヤブサ保護グループが招かれ、私にも一緒に写ってほしいという。

 ファンだという知人から「彼に撮影してもらえるなんて」とうらやましがられた巨匠の一挙手一投足まで細かな指示を出して撮影した1枚は、さすがの出来栄え。それ以上に校長先生からの誘いの言葉がうれしかった。「あなたは私たちの一員だから」 (谷悠己、写真も)