2023年09月04日
湖南省の料理は辛いことで知られるが、もう一つ有名なのが「臭(しゅう)豆腐」=写真=という料理だ。野菜などを発酵させた液につけた豆腐を揚げたもので、くさやを思い起こさせる独特の臭いが特徴だ。北京でも屋台で見かけるが、臭いに尻込みして食べたことがなかった。
しかし出張で訪れた長沙は臭豆腐の本場だけに、食べないわけにはいかないと初挑戦した。揚げ上がった臭豆腐は真っ黒で、意外にも臭みがあまり感じられない。一方で肝心の味はいまひとつで、たれの辛さを除けば日本の揚げ豆腐とそれほど違いを感じなかった。
なぜだろうと考えて思い出したのが、伊豆大島で食べたくさやだ。料理店で注文したくさやは臭いがキツかったものの、その味わい深さに舌鼓を打った。しかし土産用に買った瓶詰は臭いがあまりしない分、味わい深さは欠けていた。
長沙で食べた臭豆腐も観光客向けに臭いを抑えていたのかもしれないが、やはりあの臭いがあってこその味なのだろう。そう考えると北京で食べ直そうかと思うが、あの臭いをかぐたびにやはり尻込みしてしまう。(新貝憲弘)