2023年09月09日

　先日、トランプ前米大統領がワシントンの連邦地裁に出廷した。２０２０年の大統領選の結果を覆そうとしたとして連邦法違反罪で訴追され、罪状認否に臨んだ。

　トランプ氏が出廷する時は毎回、裁判所の周辺で支持者が声援を送ったり、反対派が抗議したりする。今回も同様で、門の前では「トランプは大統領選で勝った」といったプラカードを掲げた支持者と、「トランプは犯罪者」と訴える反対派の双方が気勢を上げていた。

　すると、トランプ氏の支持者が、デサンティス・フロリダ州知事の顔写真が描かれた旗を地面に広げ、踏み付け始めた。デサンティス氏は次期大統領選に向けた共和党内の指名候補争いでトランプ氏のライバル。トランプ氏が目の敵にしているだけに、支持者も反デサンティス氏らしい。

　横目で見ていたトランプ氏の反対派は、トランプ氏と同じ保守強硬派であるデサンティス氏のことも嫌いのようで、一緒になって旗を踏み始めた。共和党と民主党の分断は深まるばかりだが、思わぬところで「超党派協力」を目にした。　（吉田通夫）