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バンコク 黒い悪魔 御利益は?

2023年09月23日

バンコクのホテル敷地内に設置されたクルー・ガーイゲーウの像

バンコクのホテル敷地内に設置されたクルー・ガーイゲーウの像

 タイ・バンコクの「バザール・ホテル」敷地内に、欧州の教会などにみられる怪物ガーゴイルに似た巨大な黒い像が設置された。仏教団体が「悪魔崇拝を助長する」として撤去を求めるなど物議を醸している。像は「クルー・ガーイゲーウ」といい、高さ4メートル、幅3.5メートルに及ぶ。真っ赤な爪に金の出っ歯、浮き出たあばらが不気味さを際立たせている。功徳を積む悪魔と信じられており、像は座って瞑想(めいそう)しているという。

 人間と鳥のハーフで、クメール帝国の全盛期を築いたジャヤバルマン7世の師ともいわれる。タイ北部ランパーン県からカンボジアのアンコールワットまで行脚した僧侶から、クルー・ガーイゲーウの小さな像を譲り受けた男性が裕福になったため信仰されるようになったとされる。

 9月上旬に現地を訪れると、苦情を受けてか像の周囲を覆う工事が進んでいた。ホテルの警備員によると、像を見にくる人は後を絶たないといい、この日もマレーシア人観光客が見物に来ていた。御利益があるかどうかは分からないが、警備員に促されて家族の健康を祈ってみた。 (藤川大樹、写真も)