2023年09月19日
日本が統治した時代の韓国に美術教師として赴任するなどした日本人画家らの作品展が釜山(プサン)で開かれ、足を運んだ。
数年前に日韓の美術館が共同でこの時代をテーマにした巡回展を企画したものの、韓国側では抵抗感が強く、開催が見送られたと聞いた。今回は、現地の釜山韓日文化交流協会が植民地期の文化交流を紹介する趣旨で主催したが、果たして一般の韓国人はどのように受け止めるのか-と興味があった。
朝鮮の風景や風俗などを描いた作品が並ぶ会場。熱心に鑑賞していた大学生の尹孝正(ユンヒョジョン)さん(18)は「植民地支配を受けた時期を考えると胸が痛いが、この方々は美術活動をしていた。私たちが別の感情を持って見るのは礼儀を欠くと思う」と話した。他の来場者も、ほぼ好意的な受け止めだった。協会によると、期間中に目立った苦情などはなかったという。
戦後日本ではあまり知られていない無名の画家でも、教えを受けた韓国人が独立後の韓国で活躍した例は少なくない。歴史を冷静に捉える雰囲気が広がり、美術作品として鑑賞できる機会がもっと増えれば良いと思った。 (木下大資)