【本文】

  1. トップ
  2. コラム
  3. 海外の風
  4. 中国
  5. 中国・南寧 盛況阻む 気持ちの壁

中国・南寧 盛況阻む 気持ちの壁

2023年10月03日

中国広西チワン族自治区で、日系企業に投資を呼びかける交流会=同区南寧で

中国広西チワン族自治区で、日系企業に投資を呼びかける交流会=同区南寧で

 中国広西チワン族自治区南寧で、地元政府関係者が日系企業に投資を呼びかける交流会を取材した。日系企業の関係者が中国の会議で発言する機会を取材するのは久しぶりだったが、驚いたのは発言した10人近くの大半が流ちょうな中国語でスピーチをしたことだ。しかも現場の担当者ではなく、日本を代表する企業の中国事業トップとして本社の役員を兼務していた。

 10年ほど前までは、こういう場で日本人が発言する際は、冒頭だけ片言の中国語であいさつした後「ではここからは日本語で話をさせていただきます」などと通訳が入るのが一般的な印象で、本社の役員クラスだと中国に来るのも初めてというケースが珍しくなかった。それが今や現場での商談はもとより、経営幹部も中国語を話す必要があるのかと考えさせられた。

 残念な点もあった。「自由な意見交換」といいながら、発言は日本側ばかりで中国側は地元政府幹部1人だけ。日中関係が微妙なためだろうが、せっかく言葉の壁がなくなっても、腹を割って話せない「気持ちの壁」があっては商談も盛り上がらない。 (新貝憲弘、写真も)