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中国・寧夏回族自治区 スパイ疑惑 質問攻め

2023年11月07日

 内陸部の寧夏回族自治区銀川市を家族で旅行した際、小学生の息子がホテルのフロントの従業員に質問攻めにされた。「何をしに来たの?」「今日はどこに行くの?」「いつ来たの? いつ帰るの?」-。中国のホテルではチェックインの際に記者であることが分かるため、「旅行以外に“真の目的”があるはずだ」と疑ったのだろう。

 新型コロナウイルス対策のため外国人の入国を厳しく制限した「ゼロコロナ」政策が終わってからは、中国当局は改正反スパイ法の施行など国家安全保障に敏感になっている。経済回復のために外国企業を呼び込みたいが、外国人にはスパイが潜んでいるかもしれない-。そんな疑心暗鬼が見え隠れする。一方で上海市政府は、外国人向けに交流サイト(SNS)を通じて生活情報を届ける「シティー・ニュース・サービス」の運用を始めた。最近は居住する外国人が大幅に減っており、国際都市としての危機感が強い。市政府関係者は「外国企業の事業環境を改善し、上海に戻ってきてもらいたい」と熱心だ。

 「疑い」と「歓迎」。外国人にどちらの姿勢で応じるかによって、地域間の格差も広がるかもしれない。 (白山泉)