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中国・福建省 茶園に「国内一早い桜」

2024年02月07日

 昨年12月中旬に訪れた時には鮮やかな緑の茶園で、1本の桜がピンク色の花を開き始めていた。福建省に台湾系の茶園「台品桜花茶園」を開いた謝東慶(しゃとうけい)さん(70)は「中国一早い桜だ」と胸を張った。

 謝さんは27年前に台湾から対岸の福建省に渡り、台湾品種の茶を栽培して、中国国内や欧州で販売している。中国政府幹部が視察に訪れるなど、台湾経済人の中国での成功例として知られている。

 自然を愛する謝さんは単なる茶園に終わらせず、台湾や日本から桜を持ち込んで計1万本を植え、茶園を一大観光地にした。茶園の名前にも桜を入れ、数年前には家族連れも楽しめるようにミニ汽車も通した。

 福建省の港湾都市アモイから車で2時間かかる山間地にもかかわらず、開花がピークとなる春節(旧正月)前後になると1日に3万~4万人が訪れるという。「桜が茶園の知名度を上げ、多くの人が茶を買ってくれる」と商売人らしい計算が光る。

 満開の桜に新緑の茶畑。日本以上に日本らしい風景が中国の山あいで広がるのを想像して、長く日本に帰っていない寂しさを紛らわせた。 (石井宏樹)