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韓国・華川 凍った川 巨大釣り堀に

2024年02月12日

 

 韓国北部の江原道華川(カンウォンドファチョン)郡で冬に開かれる「華川ヤマメ祭り」を訪れた。川に張った氷に穴を開けて楽しむヤマメ釣りが呼び物で、例年100万人以上の観光客を集めるという。

 訪れた日は気温0度をやや下回る程度だったが、約100メートル幅の広大な川面に厚さ20センチほどの氷が張っていた。「私たちには氷を作る技術がある」と崔文洵(チェムンスン)郡守(町長に相当)。上流で川の流れを調節してダムのような状態をつくり、凍りやすくするらしい。

 祭りは地域おこしを目指して2003年に始まった。初期には江原道と友好提携する鳥取県の渓流釣り施設を視察し、ヤマメの燻製(くんせい)販売を採り入れたが、採算が合わずやめたという。現在は、大量の養殖ヤマメを区間ごとに放流。釣れたら会場で焼いて食べることも可能で、大勢の来場者を効率的に楽しませる方式が定着している。

 川底は平らに整備され、氷上釣りのために人工的に造られた大がかりな釣り堀のような空間。祭りの経済効果は1千億ウォン(約112億円)に上るといい、韓国式のダイナミックな地方創生を目の当たりにした。 (木下大資、写真も)